現場通信【ソイドク】について
ソイドクとは、ソイル(土壌)、ドクター(医師)の略であります。
一般財団法人日本土壌協会の資格認定された土壌医(土壌医1級)の立場で北海道の生産者へ旬な栽培技術情報などを月1回のペースで発信し、少しでも生産者やその関係者に役立つ有益な情報を発信いたします!
投稿者:西の横綱 / 技術普及部土壌医 / 2022.4月
Vol.01 「すごいよ、リン酸」
◆小麦の生育状況(越冬前)
秋の生育として播種直後は干ばつの影響を受けて緩慢な生育の圃場もあったと思いますが、
道内全体に根雪が遅かったこともあり、茎数を見れば十分に確保できた圃場が多かったのではないでしょうか?
ただ今年は積雪量が多くなっています。
雪解けが遅いと春の立ち上がりが遅れてしまい、せっかく越冬前に確保した茎の生長が遅くなります。雪解けが順調に進むことを願うばかりです。
◆越冬後の施肥の考え方
起生期追肥の考え方は茎数管理という基本技術が広がりつつあり、皆さんも茎数に応じて追肥の有無、追肥量を調整されていると思います。
追肥に使用する資材としては硫安、尿素を使用する場合が多いと思いますが、春先は越冬によるストレスによって、根の活性が非常に弱い時期になります。
起生期の内に根を回復させて、幼形期以降の生育に備える施肥を考えてもいいかもしれません。
参考に越冬後の秋小麦ではありませんが、基肥時のリン酸無(左写真)とリン酸有(右写真)の初期生育の比較です。
リン酸有の方が明らかに茎が太く生育が旺盛になっています。
同じ窒素量なのに不思議ですよね?生育適温内の時期でこれだけの差が生じるのであれば、低温期はさらに効果があるのでは、と春先のリン酸施肥のポテンシャルを夢見てしまいます。
毎年思うように収量が上がらない、もっと高収量を目指したいといった場合にはリン酸や苦土の施肥を検討されることをおすすめします。
◆越冬後追肥のおすすめ肥料
基肥にDd化成など緩効性肥料を使用した圃場 ・・・ リン肥、苦土質資材
基肥に緩効性ではない肥料を使用した圃場 ・・・ 3要素入り肥料、苦土質資材